ePROなりの苦悩

今更聞けないePRO

元来の(紙の)患者日誌が(紙の)症例報告書の特殊な例の一つであるように、ePRO(Electronic Patient Reported Outcome)もEDCの特殊な例と言えます。患者日誌は原資料として扱われ、ePROもまた等しくeSource(電子原資料)として扱われます。と、導入をサクッと書こうと思ったのですが、患者日誌も原資料なのか、症例報告書の一部なのかの「べき論」は難しい話だと感じます…症例報告書と同列に扱うとなると、患者の直筆で収集された情報が、そのまま治験依頼者に回収されることになりますし…筆跡も立派なバイオメトリクスと捉えられると思いますし、朱肉で指紋をペタンとして治験依頼者に提供しているようなものです。大袈裟な!と思われるかも知れませんが…

患者日誌は施設側が管理するもの

さて、症例報告書としての是非の話は割愛するとして、基本的には患者日誌に当てはまる特徴はePROにもそのまま当てはまります。患者日誌は施設スタッフが患者に配り、施設スタッフが次の来院時に回収します。記載内容が不明瞭な場合も、施設が患者に問い合わせを行います。来院の間隔があく場合は、施設から患者に電話なりメールなりで連絡を取り、日誌の記入で困っていることはないか、タイムリーに記入できているか等を確認します。

ePROも施設側が運用するモノ

これを電子化した場合、EDCの問い合わせは施設からベンダーに、ePROの問い合わせは被験者から施設に…ということになります。紙媒体の場合だと、「紛失してしまった!」等の厄介な連絡はあり得ますが、「ページが開けなくなってしまった!」や、「回答が書き込めなくなってしまった!」というものは通常はありえません。これが、ePROだと普通にあり得るのが厄介な所で、ePROを導入するにあたって構えていなければいけない所です。端末支給型の場合だと、これに加えて「電源が入らなくなった」や、「通信が出来なくなった」等の不具合も施設側が窓口になります。修理や代替機の発送にあたりePROベンダーとのやりとりも含め、なかなか大変です。かといって、被験者自身の端末を利用するタイプだと、今度は利用環境を完全にコントロール出来ないという問題が付きまといます。

個人情報とePRO

ePROの目玉の一つ(紙の患者日誌より優れている点の一つ)に、「被験者に入力をリマインドする」というのがあります。時間になったら、端末や被験者の電子メールに「入力をお願いします」等の通知が届きます。この情報は、もちろんどこかに保存されていなければならないわけですので、扱いがややこしくなります。SMSで通知するなら被験者の電話番号、メールで通知するなら被験者のメールアドレス、ログインID(潜在的に個人情報が含まれる)の入力が必要なePROならログインID…だれがその情報にアクセスできるのかがEDCとはまた違うレベルでややこしい話になります。

解決は…色々ありますが、ここまで書いておいてePROの種類について先に書いておくべきだと気づきました。なので今回はこれで切り上げて、次回ePROを色々紹介してから深掘りを…

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました