三日間のワークショップの二日目が終了、明日で三日目、そして最終日となります。日本で(執筆時点では)まだ実績のないシステムのため、果たして人が集まるのか少々不安ではありましたが、おかげさまでほぼ満席でワークショップを開催することができました。開催にあたっていくつかの反省点があったので、備忘の意味も含めてつらつらと。
パソコンの調達
ワークショップともなれば、単純な製品デモンストレーションとはことなり、参加者に実際にシステムを触ってもらうというのが大前提になります。各自パソコンを持参してもらって…ということもできるのですが、そうなるとワークショップの初日に各参加者のパソコンの設定が必要になります。せっかく来てもらっているのに、初日の1~2時間をこれに費やしてしまうのは申し訳ないし、もったいない。なのでパソコンをレンタルすることにしました。とりあえず10台、5日間という期間で、色々な企業さんで見積もりをお願いしたのですが、選べるオプションの豊富さとコストパフォーマンスの両面から、オリックスレンテックをチョイスしました。梱包状態が大変良く、かつ出し入れのしやすい箱および個パッケージなので、他の会社さんを試したわけではありませんが今のところ素直に評価したいところです。
WannaCry降臨
パソコンが届いて、いざセットアップという手はずだったのですが、到着直前にランサムウエア「WannaCry」がIT業界に猛威を振るいました。あ~、半強制アップデートくるな~と思いつつ迎えたレンタル期間の1日目、とりあえず届いたパソコンを全て開いて、Windows Updateを開始します…レンタルパソコンの動作OSはWindows 10なので、基本的に影響は考えられないというのがマイクロソフト社の見解でしたが、結局今回の脆弱性についてもNSAが知り得ていたのにマイクロソフト社に報告を怠っておりましたので、念のためです。10台のパソコンを一斉にアップデートする光景ははなかなか圧巻です。

Windows Updateに時間がかかるひとつの利点は、手動でも10台余裕でアップデート出来ることくらい…
トラブル発生
流れ作業で、10台のパソコンに同じ設定を施すわけなのですが、ここでトラブル発生。Windows 10初回起動時にユーザーIDとパスワードの初期設定を行うのですが、期間が限られているので、わかりやすいWindowsアカウント名にわかりやすいパスワードを…と考えていたのですが、ここでまさかのパスワード設定ミス。一応、パスワードの設定時に、確認の入力が求められるのですが、奇跡的に全く同じタイプミスが初回入力と確認入力の両方で行われてしまったみたいで、パソコンがログイン不可状態に…考え得るタイプミスを色々と試してみたのですが、残念ながらログインできず、パソコンをまるまる出荷状態にリセットするという決断をしました。Windows XPの時代から毎度のことなのですが、このクリーンインストールと呼ばれる作業の後、Windows Updateが何回も何回も行われるのです。最後のアップデートに至っては、午前の6時に操作を開始して、午後1時に漸く処理が漸く終わりました。ワークショップ専用のマシンとして割り切り、CPUは「CORE i3」にメモリは「4 GB」と低スペックパソコンではあったものの、正直このスペックのパソコンは一般家庭で普通に置いているものだと思われます。マイクロソフトさん、もう少しアップデートを軽くして下さい…Windows 10のクリーンインストールは初めてだったので、ちょっと経験値アップした気分はありますが…

しばらくっていつまで?と子供の様に駄々こねたくなります。
…結局は知識がものを言う通訳
通訳、英語では「Interpreter」という言い方をしますが、この言葉には「解釈をする人」というニュアンスが含まれています。ワークショップのトレーナーは英語で説明をするため、適宜日本語で参加者に通訳・補足をする必要があります。で、過去の反省も踏まえ、今回は自分が徹底的に理解するまでは通訳をしない(自分なりの解釈ができるまで日本語になおさない)ということを徹底してみました。不確定要素があるのに通訳してみて、結局後から解釈が間違っていたことが判明して、何度も日本語と英語の間で行ったり来たりした経験は何度かあります。なので今回は、日本語で説明する前に、英語でトレーナーに聞き直して、自分の解釈に間違いがないことを確認しながらの通訳に徹しました。通訳のペースは落ちてしまいますが、なかなかテクニカルな話なので、間違って伝わるよりは100倍マシだと割り切りました。
今回、Javascript(プログラミング言語のひとつ)に関するところを翻訳する場面が出てきて、なかなかハードでした。プログラミング関係の日本語の教科書・参考書はいくつか持っているのですが、しばらく読んでいないため、専門用語の日本語が全く出てきません…予習しておけば良かったと大きく後悔です。日本のITは、全部日本語で勉強できちゃうくらい、書籍が充実しているのですが、そのせいでIT専門用語も日本語・外来語・和製英語と独自のものをもっています。帰りの電車で「あ、operatorの日本語は演算子だった!」と急に思い出すなど、咄嗟に出てこないのが、ちょっと辛いです。
ワークショップでしか味わえない体験
デモンストレーションではポケーッと見ているだけ、逆にトレーニングでは、とにかくシステムに関する技能の習得が目的になります。正式なトレーニングの場合は、トレーナーも参加者も「この期間の間でトレーニングを終えなければいけない」と言うストレスが常に付きまとい、時には参加者として質問したいけど、トレーニングの流れの妨げになるから我慢。逆にトレーナーとしても、聞いてあげたいけどトレーニングを無事終えるというタスクがあるからある程度で議論を遮らなければならない…等のディレンマがあります。ワークショップは、デモンストレーションとトレーニングのちょうど中間を行く感じで、参加者としては比較的自由度が高いです。自分が興味を持つところを重点的に色々と弄ってみたり、質問してみたり、ディスカッションをしてみたり…
通常のトレーニングとは全く違う性質の質問がきたり、ディスカッションがあったりするので、やっていて非常に楽しいです。惜しむらくは、身体がひとつしかなく、ハングリーに色々と聞いてくれる参加者全てと議論しつくすことが叶わなかったですが、別の形でフォローしていきたいと思います。なお、トレーナーは参加者の皆さんの姿勢に感服していました。米国でワークショップを開催するときは皆さん課題に取り込む姿勢がもう少し消極的だそうです…イメージと真逆で凄く意外です。
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