ちょっと前、とあるアカデミアのお客さんとの会話にて。仕事の依頼を頂いたのですが、それを○○して△△して…とお客さんが話しているところを遮り、「それ、おそらく、事務方さんから横やりが…」と意見してみました。何故無理なのかを説明すると、「詳しいんですね…」とお褒めの言葉。アカデミアさんとやりとりをしていく中で、必然的に身に付けるスキル:科研費の事務・会計処理の先読み。褒められて、嫌な気分はしないです(いや、勝手に褒められたと解釈しているだけかも知れませんが)。指摘していなければ、お互いきっと今頃事務処理の底なし沼にはまっていたことでしょう…でも正直、こんなスキル、身に付けなければいけないこと自体、なんだか虚しいです。
とにかく複雑
お金をもらっている立場でこんなこと言うのは非常に恐れ多いのですが、アカデミアさん(おそらく公的機関全般ですが)は、契約の処理も、納品も、その後の支払いも色々と大変です。国立と私立で大きく異なり、さらには同じ国立・私立の中でも手続きが異なることが多いです。予算の出所、それを主任として受け取っているのか、分担で受け取っているのかの違い、事業予算の場合でも、同じ仕事空間に例えば医学部と病院の備品が混在している状態…
紐解くのはなかなか骨が折れます。いや、今でも完全に理解しているには程遠いです。こう言ったやりとりを代行し、大手企業がアカデミアさんとのやりとりの際に利用している業者がいるくらいですから…。自分としては、「どの質問をすれば良いか」がなんとなくわかっているレベルです…
年度がまたげない
これは、主に予算の出所の問題で、科研費(補助金)だと基本的に年度をまたぐことが難しくなってしまいます(繰り越し制度は、一応ありますが、例外です)。これ、地味なようで非常にややこしい問題なのです。例えば、苦労のすえ、めでたく入手できた科研費を使って文書管理システムを構築しようとしたとします。自前のサーバーも大変なので、クラウドでサーバーを調達しようとしたとします。平たく言うと、コンピューターサーバーを買わずに、どこかで借りる、ということです。どこの業者もいくつかプランがありますが、当然、数年間前払いでの契約が一番お得感があります。ところがどっこい、年度をまたいだ契約が、難しいということがほとんどです。これのインパクトは、馬鹿になりません。Amazon Web Servicesの例を挙げると、3年前払いと1年前払いとでは、同じ3年間トータルで25%くらい価格差があります。さらに…
年度が本当にまたげない!
諦めて1年前払いで手を打とう…と思うも、それも難しい場合が多い。と言うのも、科研費が実際に現金として入手できて「いざ契約!」というときには、契約の満了日は当然年度をまたぎます。結局、そこを「工夫」してくれる代行業者を間に挟まなければならず、もちろん代行業者も手数料が発生するので、更に費用が嵩みます。代行業者だって、次年度の科研費の採択が、ギリギリまでわからない状態(=代行業者が前払いした分がきちんと回収出来るのか)で、リスクを被っているわけですから、当然です。
無駄なく使おう、税金
税金を効率よく使おうとすると横やりが入る、そんな状態なのではないでしょうか。尚、上記は仕事を提供する側から見たときの「勿体ない」であって、実際にはもっとあります。科研費で雇った人が、例え諸事情により一時的に仕事に取り組めない状態でも、厳密にはその人に科研費の利用目的とは無関係の仕事をさせてはいけません。一年度で綺麗に使い切らなければいけないため、最後の数千円を使い切るのに一人日つぶしてしまうということも起きてしまいます。スタッフの諸経費は、その人の給料の倍程度と(ざっくり)試算すると、どれだけ勿体ないかが感じられると思います。
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