なんで必要なのかなかなか解りづらい。自ら治験に関わっていても、スポンサー治験のCRCとして活躍していても、普段あまり触れる機会の無いため概念すら掴みにくいものが、2020年には現実になってしまいます:CDISC SDTMです。OmniComm Systems社が抱えるEDCでも、SDTM対応はホットトピックとなっております。企業治験はじめ、大規模な試験・研究向けのTrialMasterはもちろんSDTMデータセットの出力が可能ですが、実は臨床研究・自ら治験向けのPromasysも対応させています。リソースが企業治験と比較して少なく、プログラマ集団に丸投げする手段が無いアカデミアでこそ、こういったツールが重要になってくるのかな、と思います。いや、EDCに搭載されているツールを使っても大変な事には変わりないです。でも、使わないと、確実に、もっと大変。従来のやり方だと2〜3ヶ月の作業を1ヶ月まで短縮できる感じだと予想しています。そもそもなんでこんな事になっているんだっけ…
誰かが楽をしたいため
(以下筆者の解釈につき注意)そう。データマネジメントの全ての原動力は、コレに尽きます。もちろん、単純に楽したいだけじゃなく、品質を一切損なわず、むしろ出来ることなら上げつつ、楽したい!楽をするために、今だけ歯を食いしばって大変な思いをするのです。SDTMでどの部分が楽になるかと言うと、理解するのが楽になる、という事です。今の状態は、試験の種類によって謂わば使っている言語が全く違う状態。がん領域は日本語でデータ収集がなされ、循環器領域ではフランス語、精神科領域ではドイツ語、と言うような状態です。それだけではなく、一つの領域でも試験のやり方によってデータの集め方が細かいところで異なったり(言語で言うところの方言ですかね)、果てにはケースバイケースでものの呼び方が異なったりします(ある人はメンズフォーマルと言い、またある人は紳士服と言い…)で、目出度く試験を何本も終えて、このデータを申請資料として出すと、審査する側(当局の方々)は、この異なる言語、方言、言い回しで構成されたデータをじっくり見て、研究者(申請者)が導き出した答えが正しいか否かを確認しなければいけないわけです。無茶です。なので、公用語を設けましょう、方言を排除しましょう、更にはメンズとか紳士とか曖昧な表現は全て禁止にして、「男性用」に統一しましょう、というわけです。徹底した標準化をしてみよう、と言うことです。
「その他」は問答無用で「その他」コーナーへ
そこまで厳格な標準化なんて、できるのだろうか、とデータマネジメントをやられている方々こそ、激しく疑問に感じられると思います。月9ドラマだって、11回じゃ終わらず、スペシャルをやったりしますし…。そうなると棚に11回プラスSPの12回分を並べたくなります。でもSDTMでは、面倒臭いから一緒に並べるのは一切禁じられます。例外的なものは問答無用で「その他」コーナー行きです。逆に解りづらい!と思われるかも知れませんが、解りづらくは無いです。面倒臭いだけです。ただ、ここで融通を利かしてしまうと、必然的に線引きの議論が始まってしまいます。その議論を許してしまうと、数年おきに線引きが修正されるのは目に見えている…と感じています。
今やるべき事は?
CDISC標準化は、今後データマネジメントの核になると思われますので、データマネジメント担当や解析担当のみならず、試験責任医師、分担医師、CRCの方々、ある程度の理解は必要だと考えています。標準化の動きをデータの保管・解析・提出だけに限定していては効率が悪いので、必ずデータ収集のあり方にも影響してくるからです。ウェブ上にわかりやすい資料が公開されていますし、またOmniComm Systems社でもCDISCに関するWebinarを予定しております。また、当ブログを通して案内させて頂きますので、宜しくお願い致します!
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