紙のCRFでデータ収集をしよう!

今更聞けないCDM

今回は、EDCベンダーらしからぬお話を敢えてしたいと思います。正直申し上げますと、EDCは紙CRFの完全上位互換です。ひと昔のEDCなら紙の方が何かと便利だったと言うこともあったのかなとは思いますが、昨今のものはCRF作成のスピード、データ収集のスピード、クエリ処理のし易さ、そして最終的な解析部隊へのデータの受け渡し、どれを取ってもEDCが紙に優れています。唯一、費用の面(厳密には初期投資のみだと考えますが、ちょっと割愛)でのみ、紙での運用に群杯があがります。紙でやるにしても、色々工夫が必要です。紙媒体だからと言って、良い加減でも良いということは当然ありません。紙媒体でのデータ収集がメインだった頃のPromasysの経験を生かし、何かの参考になればと、少し綴って見たいと思います。

CRF作成はMS WORDで!

紙CRFの多くは、MS EXCELで作られています。段組レイアウトを作るにはとっつき易いからか、罫線の引き方が直感的だからか、昔のMS WORDが色々残念な仕様だったからか、理由は正直わかりません。ただ、少なくともOffice 2010以降ということでしたら、MS WORDで組むべきです。ここは、自信を持って断言します。腰を据えてMS WORDの(一見不便な)テーブルでの段組を覚えた方が、最終的な作業効率も、CRFの見栄えも良くなります。MS EXCELの問題点としては:

  • 複数ページにわたるCRFで、各ページに個別にヘッダーを付けなければいけない
  • ページ番号含め、フッターを組むのが難しい
  • CRFの注釈等も、対応していないため、全部手作り
  • WYSIWYGの面で非常に弱い(画面に映る通りにプリントされない)

一握りですが、挙げればキリがありません。MS WORDでのCRF作りについては、別途記事を作成しますが、できる大辞典などの安くて読み易い教科書もあるため、おすすめです。

余白は広めに!その罫線、本当に必要?

手作りのCRFには、見出し、項目名、入力欄、なんでもかんでも罫線で囲っているものが多くみられます。CRFは、基本的に修正が入る(入りうる)ものと考えた場合、罫線があると修正後のデータも、修正日と修正理由も、署名・押印の場所も狭くなってしまいます。お役所などで良く罫線だらけの申込フォームを見かけますが、ぐちゃぐちゃになったら差し替えれば良いという発想から、あれでも支障がないことだと思われます。CRFは修正履歴が判別可能である必要があります。修正に修正が重ねられることも起こり得ますので、罫線は必要最低限に留め、さらには余白も広めにとって、修正過程が複雑な場合でも、わかり易い説明を充分に記入できるスペースを設けておくことが重要です。

気を付けよう、チェックボックス

紙CRFの大きな落とし穴に、後の電子化・解析との関連性が把握しづらいことがあります。CDMSやEDCから紙CRFを生成すると、当然電子化処理が不可能なものは出てきません。例えば、「該当するものを全てチェックする」と言う収集方法があります。複数選択は、何もチェックされていない状態が、記入漏れなのか、「無い」状態なのかが判別不能です。また、複数チェックの場合、後からチェックを追加する場合に追記した日時と追記した人の名前(署名・捺印)を記入しますが、ここで記入漏れが発生したら、最初から複数チェックが入ったのか、後からチェックが追加されたのか、判別が不可能です。こういった問題を回避するために、チェックボックスは使わず、必ず「はい・いいえ」または「有り・無し」の二択にする方がベターです(複数チェックのみならず、単一のチェックボックスについても同様です)。

教育目的でも重要?

EDCでは監査証跡は全自動で管理されるため、データ入力担当者がほとんど意識する必要がありません。自分の経験からなのですが、紙媒体で修正履歴を残すことを経験すると、監査証跡のあり方への理解も深まります。監査証跡とはなんぞや、という教育をする上でも、紙媒体で実際に実感してもらうことも一つの方法かも知れません。

 

コメント

  1. はるなつまま より:

    報告書を作成する側としては、紙のCRFは原点のように感じています。
    最近はEDCしかしらない人もいて、報告の意味(根拠)を知らない人も・・・。
    根拠を知っていることは大事ですね。

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