データマネジメントって何?

今更聞けないCDM

EDCやCDMSに普段全く触れていない、予備知識がゼロに近い人にもわかりやすいカタチでデータマネジメントを説明して欲しい…と言う声をたびたび頂いておりますので、こちらの企画をスタートする事にしました。完全な入門と言うのは作るのがなかなか難しい。聞いている側(受講している側)は、自身の勉強不足を責め、理解できなくてもなかなか質問をしてくれない。レクチャーを遮ったら悪い、他の受講者に迷惑、あるいは単純に知らないことを恥ずかしく感じてしまう…理由は色々あると思うのですが、結果的にレクチャーする側は「なるほど、そこから説明しないといけなかったか」と言う事に気付きにくい。ですので少々不安ですが、色々工夫してみたいと思います。当ページのコメント欄から、適当なハンドルネームを使用して質問の投稿が可能ですので、宜しければご活用下さい。ではでは…

データマネジメントって何?

データマネジメントは、そのまんま「情報管理」の英語です。カタカナで書かれるせいか、パソコン等の電子機器を使った高度な処理と言うイメージが強いですが、紙媒体でも情報を管理していればデータマネジメントです。細かい定義は何パターンも可能なのですが、自分は「一行で説明してくれ」と言われたら:

研究データが責任医師から解析担当にわたるまでに必要な一連の作業

と答えます。うん、わかり辛いですね。という事で「三行」バージョン:

研究を実施して、どの情報を収集して何をどの様に評価するか、という事は研究プロトコルに書いてあります。放っておいても集まるわけでは無いので、まずデータの集め方を考えます。そして実際にデータを集めて、解析・分析を任されている人に、仕事がしやすい形で、綺麗なデータを渡します。

研究に必要なデータは、通常診療で集まるものもありますが、そうでないものもあります。また、通常診療で集まるたぐいのデータでも、そのままでは患者のカルテにただデータが蓄積されていくだけで、解析には使えません。と言うことで、まずはデータの集め方を考えます。そして、集めたデータをデータベース化していきます。データを集めて終了と言うわけでは勿論ありません。集められたデータが、項目間で矛盾していないか、カルテ等の原データ(もとデータ)がある場合は、データベースの内容と相違ないか、報告漏れは無いか等をチェックします。チェックが終わったからと言って、データをそのままポンっと解析担当に渡すわけでもありません。どの様な解析をするかに合わせて、必要なデータを抽出し、なるべく作業がしやすい形に加工してから、解析担当にバトンタッチします。

データベース化?

さて、上でデータベース化という言葉が出てきましたが、そもそもデータベースとは何なのでしょうか。データベースは、データ(≒情報)を(一か所などに)整理して、検索可能、管理可能、そして必要に応じて修正を可能にしたものです。紙で言うと、個人の氏名を50音順に並べた情報カードの集まりもデータベースにあたります。このままではペラペラめくるだけですが、これに例えば都道府県から個人を検索できるように索引を付ける等すると、実用性が向上します。もちろん、紙媒体では索引は全て別紙で作らなければならず、情報カードの内容を変更したら索引も更新しなければいけないなど、大変な作業になってしまいます。そこで、電子計算機(パソコン等)の出番です。紙媒体で運用していては大変な作業も、パソコンを利用すれば素早く処理できます。例えば、エクセル等の表計算ソフトで、数百件の住所データに対して「Ctrl+F」を用いて特定の個人を検索すると、一瞬で結果が出てきます。情報カードの例にあった索引を作成しなくても、人が目視でやるのと比較して、これほど速度に差が出ます。データマネジメントの多くの部分は紙と電子のどちらでも運用が可能ですが、データベースの作成に関しては、電子媒体以外での運用は非現実的です。

症例報告書(CRF)のデータベース化

上の例で出てきた情報カードは、臨床研究では症例報告書になります。紙の症例報告書に、プロトコルで要求されている情報を記入していきます。多くの場合、これは別にある診療録等のデータを「転記」することになります。この症例報告書にある情報を、どこかの時点で「データベース化」します。これに利用されるシステムを、CDMS(Clinical Data Management System)と呼びます。紙の症例報告書の場合は、記入内容の正確性をモニタリングと呼ばれる手法で確認し、最終的に責任医師の署名をもって「最終版」とします。その後、症例報告書の内容をパソコンなどで電子化し、データベース化します。

最近では、症例報告書の記入自体も電子化してしまうというケースが多くなっています。症例報告書をインターネット上のウエブページで代用し、そちらに直接入力していきます。EDC(Electronic Data Capture)として知られる手法です。EDCを可能にするソフトには、データベース化をその場で行ってしまう機能がついています(CDMSの機能も兼ねている…と言うことです)。画面上で入力した情報が、保存時に自動的にデータベースに保存されるため、紙で記入→その後データベース化という二度手間が避けられます。

次回は研究の準備・実施・終了の各段階におけるデータマネジメントについてです!ご不明な点やご質問はコメント欄まで!

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