株式設立後初の大晦日を迎えます。とはいえ、12月付け設立、そして「とある会社の監査証跡」は19日からの開設でまだ2週間も経っていないため、節目と見るにはあまりにも短すぎます。とりあえず今年最低限やっておきたかったことはできたと感じています。願わくば、今月中に新オフィスへ完全移行したかったのですが、業務を停止させずに一カ月で全てやるというのはさすがに欲張りがすぎますね。フロアの張り替えと清掃が年内になんとかできたので、年明けから「移転」となりそうです。一月いっぱいは旧と新オフィスを行ったり来たりしそうですが…
そろそろ「日記で書けよ」と言われそうなので、きちんとした(?)雑記に移ります。オランダの大晦日についてです。
オランダの大晦日は、Oud en Nieuw、直訳すると「旧と新」、意訳すると「ゆく年くる年」で、そのまんまですね。自分から見たら、オランダという国はことごとく自国の伝統に執着が無く、なんでもありなところが多いのですが、12月に関してのみ文化らしきものが見えます。揚げパン食べたり、爆竹鳴らしたり花火上げたり、クリスマスツリー燃やしたり…というのが代表的なのですが、ここで紹介したいと思います。
Oliebollen
揚げパン(Oliebol、複数形Oliebollen、直訳すると油球)はドーナツの起源と主張されている丸い揚げ菓子です。プレーンなものと、レーズン入っているものが主なバリエーションです。寒くなってくると、このOliebolをはじめとするお菓子を売り出す屋台があちこちに出没します。おいしいかと聞かれると、「美味しいものもある」としか答えようがありませんが、厳しい冬にアツアツの脂っこいものを食べるとなんでもおいしく感じてしまいます。一応、オランダのAlgemeen Dagbladという朝刊が毎年(きちんと盲検化されている)サンプリング調査を行っており、10点満点のランキングを公表しています。不味いと判断されたものに付くコメントが凄いです:「古い吐物の臭いがする」「スポンジを6分間揚げたようなもの」…正直、ランキング上位を食べてみたことが無いのですが、次回は意識してみようと思います。
Vuurwerk
1970年代からの比較的新しい風習らしいのですが、導入された当初は花火消費国としてアメリカ・中国に次ぐ三位にいきなり浮上したとか言う話があります。カウントダウンをして、0時になったその瞬間に皆一斉に火を付けます。爆竹も多いので、この瞬間は正直うるさいです。そのため、カウントダウンは屋内で過ごして、乾杯してから外に出るという方も多いです。そして(主に若者の間で)事故も多いです。部位欠損レベルのものも毎年あるので、毎年啓発キャンペーンが行われています。打ち上げ花火もありますが、もちろんそこまでお金のかけたものでは無いので、「綺麗」というより雰囲気を楽しむためのものです。自分の周囲に繰り広げられる色彩の暴力は、他ではなかなか体験できないことだと思います。
Kerstboom
お役目を終えたモミの木を、各自治体で盛大に燃やしていきます。年の暮れには何かを燃やして消火する…という習慣が昔からあり、それでクリスマスツリー(の残骸)も燃やされるようになったという風に聞いています。ただ、決まって大晦日に燃やすというわけでもなく、自治会によっては新年に入ってから燃やすところも多いです。広いところが必要なので、燃え移るものが無い広場や交差点などが使用される場合が多いですが、もちろん大通りは避けます。「燃やしてすっきり白紙でスタート」という儀式は様々な文化で目にしますが、オランダのことなのでごみ収集車の仕事を楽にする…という大変合理的な側面もあると思われます(オランダは家庭・粗大ごみの収集・処分はすべて市が100%負担します)。こちらのイベントは子供のころ数回しか経験した記憶がありません。モミの木を買ってくるのも大変なのと、なんかどこか罪悪感があるのとで、日本と同じようにオランダの家庭でも樹脂製の作り物を利用する場合が多いですね。モミの木の香りが無いのは少し寂しいですが。
尚、花火が1970年代からというのが、オランダの核家族化が本格的にスタートしたのと同じ時期なのですが、偶然ではないと感じています。新年を自宅ではなく、外で迎えることは、国民の気持ちの変化の表れだったのかも知れません。
それでは、駄文で今年の投稿納めということになってしまいましたが、皆様良いお年をお迎えください。
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