英語。イングリッシュ。事実上の世界公用語(注:フランス人は必ずしも同意しません)。いままでに7度、かかわらせて頂いている日本臨床薬理学会CRC海外研修でも、ディスカッションは基本的に英語で進行します。英語は難しい、と感じられる方は多いです。私も、その一人です。こんなむちゃくちゃな言語が世界公用語に登り詰めたのが、不思議でならないと思うくらいです。日本で産まれ、日本で育ち…触れる外国語と言ってもこの世界公用語のみの方々は「外国語ってそんなもんだろう」と思ってしまうものだと想像します。でも英語って、初めて習得する外国語としては、普通に難しい部類に入るのではないでしょうか。文法的なものは、日本語もお互いさまだ、と言われそうなのでそこは措いて、英語のややこしい発音についてまとめてみたいと思います。
発音と綴りが一致しない
RECIPEをカタカナで表記すると「レシピ」になりますが、実際の発音もおおむねその通りです。ですが、一文字入れ替えたRECITEは「レシテ」等とは発音しません。TO READの過去形はREADなのに、発音は違います。TO WIND(巻く)の過去形はWOUNDで、名詞のWOUND(傷)と同じ綴りなのに発音が異なります。英語はこんなのが多いのです。ALUMINIUMなど、発音が綴りからほぼ類推不可能なものや、文字の一部を発音しない単語が自由な徘徊を許されるのも、英語ならではと感じます。これについてわかりやすい動画があるので、お悩みの方は是非参考にしてみて下さい:
英会話が堪能な人が近くにいない場合は、辞書に出てくる発音記号(「əˈluːmɪnəm」等)を理解していないと、初見の単語はどう発音するのか確信が持てない場合が多いです。ひたすら覚えるしかないということです。慰めになるかどうかはわかりませんが、英語圏の子供たちも書き取りテストには大変苦労をされている様です。
発音そのものも難しい
発音記号の「θ」で表記されるTHINK、MONTH等の単語に含まれる「TH」、「ð」で表記されるTHAT等の単語に含まれる「TH」の発音は、日本語に無いだけでなく、英語圏以外でも珍しい音です。実際、欧州の方々でもこれを咄嗟に正しく発音できる人はなかなかいません。それどころか、公用語が英語であるジャマイカでは、「θ」は使われず、THINKはTINKに近いような発音になります。上手く発音が出来なくても意味が通じるので、端から正しく発音することを諦めている節もあるような気がします。英語はそもそも子音が連なる単語が多く、その単語中に「θ」が入っているとあきらめたくなるのは自然でしょう(STRENGTHS等)。
そもそも、日本語は子音の数は英語の三分の二、母音にいたっては半分以下なので、ここも英語の習得にはハンデになっているのかな、と感じています。幼児期に暴露されていないと自然と違いが聞き取れるものでもないので、まずは耳を鍛えることが必要になり、語学学習のモチベーション維持が大変です。
何故それでも親しまれているのか
中学の頃の英語教師は、英語が度重なる異文化の「侵略」にもかかわらず、他言語を外来語として吸収しながらも英語として生き延びてきたのは、核になっていた古期英語がシンプルでわかりやすいものだったからなのではないか、と論じていました(英語の成り立ちについてご興味のある方は、こちらの素敵なまとめを一読ください)。また、昔大変お世話になっていた人に、「世界で一番話されているコトバは何だと思う?」と聞かれたことがあります。「人口からして中国語…次いでヒンディーだろうか…」と自信なさげに答えたら、「違う、ブロークン・イングリッシュだ」と。半分は冗談ですが、言いたかったことはわかります。英語の最大の強みは、ブツ切りの片言でも意味が通じやすいことなのかも知れません。私も、海外研修の際に相談を受けると、「言いたいことを一口サイズにすると伝わりやすいよ」と答えています。私は△△。貴方は○○。貴方はどう思う?△△より○○が良い?という具合に。
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