今年の夏は暑いですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私は、基本的にスーツにはネクタイもジャケットもつきものと譲らない人です。どんなに暑く(熱く)ても、仕事でお客さんの前に立つときは基本的にネクタイとジャケット。「フランクを見るとこっちまで暑苦しくなるからやめてくれ」という苦情を浴びても、スルーしていました。だが今年の夏は別物過ぎて、客先から出張前に心配されるレベル。なかにはクールビズならぬ、「うちはスーパークールビスなので涼しい格好できてください」と、スーパークールビスという言葉を使う方々も。しかも「涼しい格好でかまいません」ではなく、「きてください」とのこと。でもスーツはやはりネクタイとジャケットがないから、ビジネスカジュアルみたいなのが欲しいところです…スーツ一辺倒の私のクローゼットがビジネスカジュアル面で充実しているはずもなく、近々買い物に行かなくてはなりません。
リスクベースドワードローブ
ネクタイを捨てたのが、たまたまリスクベースドモニタリング(RBM;何これと思われた方はこちらを)の案件だったと言うこともあり、なんだかネクタイにこだわっている自分の矛盾に気づきました(遅い)。惰性に負けず、必要なことをやるというのがRBMをはじめ、「新しい働き方」とでも言いましょうか、これから仕事をする上で大事な考え方として認識されるものと想像しています。一方でRBMの重要性を力説(する人の通訳を)しているのに、自分が形式にこだわっていてはおかしいですよね。RBMと言う形で私が仕事をしている業界では考え方として少しずつ浸透してきていますが、仕事のみならず家事や育児にいたるまで、世の中全てに適用させるべき考え方だと思います。
残念なリスクベースドモニタリング
医薬品開発においては、この惰性の代表格に原資料の直接閲覧(Source Document Verfication;SDV)というものがあります。昔は、きっと必要な作業だったのでしょうけれど、データ収集の電子化が進むにつれて、本当は必要性がどんどん薄れていくのに諸事情により紙媒体の頃と同じ勢いでひたすら原資料と電子データの比較が行われてきました。この、個人的には勘違いに基づいていると考えている、習慣は根強いもの。存在がものすごく大きい。RBMの風が日本にも上陸したときに、厚生労働省が出したRBMに関する事務連絡がほとんどSDV一色なのである。もう、RBMの何を勉強してきたらこのようなストーリーになるのか…悲しい限りだと感じます。
SDV不要論こそ根っこにあるべき
先ほどのネクタイの話で言うと、状況に応じてネクタイの「しめる」「しめない」を、相手の顔色をうかがって決めているということなのですが、ぶっちゃけネクタイを締めていようが締めてなかろうが、自分が客先に伝える情報量に何ら影響は無い。だから、熱いならネクタイを外して良いですよという話になるわけです。
「いやいや、おしゃれを、実際に必要な作業と比べられても」と思われるかも知れませんが、では実際にSDVがどのくらいの労力で、どのくらいの品質向上に寄与しているか、しっかりと見定めていない状態が長年続いていることこそ問題なのだと感じています。なので、リスクベースドモニタリングではSDVを減らすという話をするのではなく、「そもそもSDVって必要なの?」と疑いの目をかけてみて、SDVは全くしないというのがベースでありスタート地点であり、まずはそこに立つことが重要だと感じているわけです。しないという前提に立つと、臨床試験のリスク評価をしている段階で「あ、でもここはこういうリスクがあるな~…そこまで頻発しそうじゃないけど、起きた場合の被害は甚大だし、なかなか発見しづらいなぁ…どうやって対策しようかなぁ…」と考えに考えて、数ある対策案の一候補として「SDV」が挙がる。しかし、です。データを電子的に収集している以上、いつでもどこでも確認が出来るし、集計もできるし、統計解析だってかけられる。SDVが本当に唯一の手段というのは、大半のケースには当てはまらないのではないでしょうか?
リクルートスーツのゴリ押し
スーツが好きな私も、リクルートスーツは正直あまり好きではありません。大嫌いと言っても一切の過言がないくらいかも知れません。でも、世の中では必要だという共通認識があるから、みんな「仕方なく」買って「仕方なく」着るのではないでしょうか。不要だとか、似合ってないのに強要されて嫌だとか、お金の無駄じゃないんかなとか、そういう話がしづらい空気。SDVを前提とする現状とどこか似てますね…
…と、ここでポっと出てきたSDV不要論ですが、これがなかなか面白いので、また別の機会にもうちょっと書きたいと思います。
コメント
フランクさん、こんにちは。
プライベートな飲みの席で、内資QMSご担当様とモニタリングの話をしようとして、中央モニタリングが、、、と話始めた途端に、なに、それ?そんなのモニタリングっていえるの? と、真顔で仰言いました。
つい数ヶ月前の話です。
しゃべりでやりあえる自信なく、すごすごと退散してしまい、ただただ悔しかったです(泣)
まあ、この辺の、RBMでしょ? 知ってるよ、当たり前じゃない? で、原データと原資料は一致してるの、見て確認してるよね? とか平気で仰る方には、早く引退して頂きたい。
そして、間違ってもアカデミアには来て欲しくないです。
あ、愚痴になりました、失礼。
RBAちゃんとやりたいです。そっからのRBMと考えていますが、その辺はどうでしょう?
また、ディスカッションの機会があれば嬉しいです。