異端者PROMASYS

【KB】PROMASYS

臨床試験・臨床研究におけるデータ収集の電子化、とまで言えば、多くの方はまず「EDC」(Electronic Data Capture)を想像されると思います。いまでこそデータ入力=EDCということになりますが、紙媒体がメインの時代では電子化にCDMS(Clinical Data Management System)と呼ばれるソフトウエアが利用されておりました。PROMASYSも、その時代に誕生した製品であり、今ではEDCとしての利用が多いですが、根っこはCDMSです。良くも悪くも、このため他の「EDC」製品とは大きく異なる仕様となっております。今回はいくつか紹介をしていきたいと思いますが、お互いに密接に関係している(相互依存している)特徴が多いです。

構築段階から監査証跡

EDC製品には、入力データの監査証跡機能は必ず入っています。誰がいつ、何を入力して、入力値の変更があった場合には理由の入力もされていて…というのは、もはやEDCの存在意義のひとつです。ですが、多くの製品は構築時の監査証跡は一切残していません。構築段階を複数人でやっていて、定義書、あるいはフォームのPDFを出力して確認している間に変更が行われていても、誰がその変更を行ったのはすぐにはわかりません。これには賛否両論ありますが、基本的には必要ないと考えられているのでしょう。臨床データが入力される前に誰がいつ何を変えたかなんて…臨床データが入力される直前にフィックスされたのが第1版と言う考えで良いのでは?という考え方なわけです。多くのEDCでは、試験実施中に変更が必要になった場合には、別途変更したバージョンを作成して、旧バージョンから臨床データをマイグレーションさせます(詳しくはIT用語辞典のマイグレーションの項を参照)。マイグレーション時に、旧バージョンと新バージョンが比較され、比較結果が「変更箇所」として記録されます。

EDC修正とマイグレーションの流れの一例

EDC修正とマイグレーションの流れの一例

マイグレーションの概念が無い

ですが、PROMASYSにはそもそもマイグレーションの概念がありません。試験実施中の変更も基本的には臨床データが入力されている環境に対して行われます。当然、修正前に環境をコピーし、修正結果を事前にテストする等のことは考えられますが、その場合でもマイグレーションは行えません。こうなってくると、項目のメタデータ(名前、データ型、単位等々)が変更になった場合も、どの日時で変更が行われて、誰が行ったのかは重要になってきます。

構築・実行環境が明確にわかれていない

多くのEDCでは、構築は○○ビルダーや○○アーキテクト等という名前のついたツールを用いる、または別媒体で構築をしてデータベースへのアップロードを行いEDCの構築を行います。入力やクエリの処理は、それぞれの製品のEDC部分で処理されます。PROMASYSの場合は、構築、クエリ管理、ユーザー管理、被験者登録からデータ入力まで、全て一つのクライアントアプリから可能になっています。主に多施設試験で利用されるWebCRFやベッドサイドで利用されるiPadアプリは、クライアントアプリの一部機能を他の媒体でも利用可能にしたに過ぎません。見方を変えれば、本来紙CRFを出力してCDMSに入力するシステムが、紙CRFをそのまま電子化したようなイメージです。

CDMS機能がたっぷり使える

入力データが全てクライアントアプリで確認できるため、CDMS特有のフィルタリング機能や一元管理などが臨床試験データに対しても行えます。例えば:

  1. 試験を問わずログインユーザーが発行した、あるいは回答待ちクエリの確認
  2. 特定の項目が特定の値以上・未満の被験者以外を非表示にして、画面上で確認する
  3. 特定の項目で入力ミスが多発している場合、その項目のみに表示を絞り、集中的に確認・クエリ発行・修正作業等を行う
  4. 特定の試験の全ての特記事項を画面上で確認する
WebCRFの影に隠れて目立たないeCRFも、例えば体重でフィルタをかけると…

WebCRFの影に隠れて目立たないeCRFも、例えば体重でフィルタをかけると…

フィルタを制するものはPROMASYSを制すと言っても過言ではないくらい、PROMASYSのフィルタリング機能が使いこなせると様々な作業が劇的に楽になります。今回の記事ではオーソドックなEDCとの比較のため試験の実施に関わる部分をピックアップしていますが、構築やユーザーアカウント管理においてもフィルタ機能は大変協力です。PROMASYSユーザーの方々も機会があれば是非色んな場所で右クリック→Filterを選択(あるいはフィルタアイコンのクリック)をしてみてください。

…体重だけ表示、かつ体重が存在しないCRFは全て非表示に

…体重だけ表示、かつ体重が存在しないCRFは全て非表示に

なぜこんなに変わってるの?

一般的なEDCをイメージしていると、PROMASYSはかなりの変わり者にうつります。PROMASYSが初めて開発された当初、市販されているEDCはもちろん、CDMSもほとんど無いような状態でした。盗み見できるお手本が無い中で、アカデミアの使用環境に最もフィットして独自の進化を遂げてきて、それにWeb、iPadの入力インターフェイス、被験者エントリーのインターフェイス、そして次期バージョンではeProを付けたのがPROMASYSです。ですので、冒頭でも述べました通り、根っこは臨床データ管理システムだと考えています。雑記半分、製品紹介半分になってしまいましたが、またの機会にPROMASYSの他の(地味だが強力な)機能を紹介したいと思います。

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