Radboud大学病院奮闘記

CRC海外研修

オランダのほとんどの施設では、リサーチナース(RN)は各病棟・医局に所属しています。治験管理センター等の中央的な部署からCRCが病院のすべての科を担当する状況とは大きく異なります。こうすることで、オランダのRNはそれぞれの所属先に応じて高い専門性を身につけることが比較的容易、そして実際の手技に関わることが可能であること等の運営上のメリットが考えられます。また、治験等で得られた収入は基本的には科の収入となり、医師主導試験を行う上で必要な財源にもなっています。

医師に医学生に事務スタッフに…

中央管理が(あまり)無いという以外は、各医局の研究センター(とでも言いましょうか)の構成は、病院・医局によって異なります。Radboud大学病院の循環器内科では、PhDコースの一環で研究医として勤務している医師が2名いました。オランダでは比較的よく見られる構図で、多くはPhD取得後に専門医登録取得を目指して(多くの場合別の病院で)研修に入ります。医師と、前述のRNに加え、医学生も見かけられました。多くは、EDCへのスポンサー治験のデータ入力業務や、出力データの加工などのデータマネジメント業務を行っていました。

Clinical Research Center Nijmegen

Radboud大学病院では、Clinical Research Center Nijmegen(CRCN)と呼ばれる部署に所属しているリサーチナース(RN)もおり、人手不足等の時に各科に派遣することが可能です。各科でRNを持つと言うことは、高い専門性を持つRNを育成しやすくなりますが、人件費などのコストもすべて各科で負担することになります。短期的にスタッフが必要な場合に、こちらのCRCNを頼ることができる構造です。

もちろん、RNの派遣部門というのが主たる目的ではなく、CRCNでは早期臨床などを中心に臨床試験が行えるユニットも備えられています。また、それ以外に試験の部分的な支援(部署間のやりとりの委託など)も可能とのことです。こちらは、病院内外問わずサポート依頼を受けているとのことです。

更なる中央管理化?

自然と言えば自然かも知れませんが、CRCNが機能しているため、病院全体のRNを一カ所にまとめて、各科で個別にRNを雇用するのは止めよう、という動きがあるとのことです。上述のCRCNを拡張し、現在各科に散らばっているRNにはこの「治験管理センター」への再就職を促す試みで、日本でもっとも一般的なやり方を、オランダで初めて導入しようとしているわけです。各科の医師・看護師では当然戸惑いの声もあるとのことで、循環器内科等の一部の科ではRNは外部の(SMOライクな)機関に所属し、循環器内科へ派遣されているという形をとっているため、ややこしい問題となっています。この場合、病院に再就職するということは、所属している企業を退職することになるため、科の所属が病院の所属に置き換わるだけとは少々わけが違います。

日本風の中央に設けられた管理センターと、オランダ風の各科で個別に管理センターを持つのとでは、今まではどっちが良いのか憶測でしか語れませんでしたが、CRCNの拡大によりRNの業務がどのように変わっていくのか、今後も可能な限りの情報収集をしていきたいと思います。

 

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